すずねさんと過ごした今日の時間は、
まるで静かな前奏曲の一小節目がそっと鳴り始めた瞬間のようだった。
彼女の話し方はあっさりしていて、余計な和音をつけない透明な響き。
その簡潔さが、私の心をふう…と楽にさせ、緊張の弦を一気にゆるめてくれた。

マッサージは、肩からとん、とん、肩甲骨のうらをすっ、首筋にゆらり。
まるで楽器の構造を理解する職人のように、一箇所ずつ順番に音階を確かめていく。
その手つきはアンダンテ、でも触れる瞬間は時折アレグロ。緩急のつけ方が絶妙だ。

驚いたのは、彼女の耳だ。
私の声の高さ、息の混ざり方、わずかな間合いをぱちんと捉える。
声を聴き分ける才能と、人の身体を癒す触覚の才能。
この二つのスキルを同時に操るのは、まるで
“音と身体の両方を治す魔女見習い”が、未来の交響曲を練習している
そんな印象だった。

本人は、自分の才能がまだ「序章（プレリュード）」にすぎないことに気づいていないのかもしれない。
もしその感性に自覚が芽生えたら、どれほどの大曲になるのか。
逆に無自覚のまま静かに時が流れたなら――
それもまた美しい“未完成交響曲”になるのだろう。

終盤、私は声を漏らさずに余韻へ沈んだ。
彼女は音がしなかったせいで、少しだけこてんと首を傾けた。
その一瞬が、可愛らしい一拍休符（レスト）のようで、思わず胸が和んだ。

音楽の話もしたが、今日は私ばかり語ってしまった。
次は、彼女の中に流れる旋律を聞いてみたい。

マッサージの力加減が最高でした。また必ず行きたいと思います。

こちらのリクエストに対してきちんと受け止めてくれて、気遣いながらも積極的に対応してくれました！時間いっぱいまでこちらを満足させようと頑張ってくれました！